【完】もう一度、キミのとなりで。
13.ホタルの光
「やべ、俺いつの間に寝てたんだろ……」
無事駅に着くと、私は眠っていた碧空くんを起こして一緒に電車を降りた。
そしたら碧空くんはなぜか手を合わせて謝ってきて。
「ほんとごめんな!つまんなかったとか、そういうんじゃないから」
「う、うん。大丈夫だよ!碧空くん毎日部活で疲れてるもんね」
「いや……うん。それもあるかもしんないけど、蛍といると俺、なんか安心するっていうか」
「えっ?」
「居心地よくてさ、気付いたら寝てた」
「……っ」
はにかんだように笑う彼の言葉に、また胸の奥をきゅっと掴まれる。
どうしよう……。居心地がいいだなんて嬉しすぎるよ。
私だけじゃなくて、碧空くんもそんなふうに思ってくれてたの?
彼はただなんとなく口にした言葉かもしれないけれど、私にとってはすごく特別な意味に感じられた。
ますます勘違いしてしまいそうになる。うぬぼれてしまいそうになる。