【完】もう一度、キミのとなりで。
「私、この夏はじめて花火したかも……」
私がボソッと言うと、隣にいた碧空くんがこちらを見てニコッと笑った。
「マジで?じゃあ誘ってよかった」
その笑顔が花火の火に照らされて、よりキラキラして見える。
まぶしくて、愛しくて、気持ちごと吸い込まれてしまいそう。
「蛍、火いる?」
「うん」
碧空くんが私の花火に火を分けてくれる。
そんなさりげないやりとりですら、ドキドキしてしまう。
碧空くんは今、何を考えてるのかな?
どうして私を花火に誘ってくれたりしたのかな?
わけもなくそんなことばかりが頭の中を巡って。
考えれば考えるほど、今日が終わってほしくないなと思った。