【完】もう一度、キミのとなりで。
刻々と迫る、今日の終わり。二人とも最後の花火に火をつけ、じっと待つ。
やがて丸くなった火の玉が光を散らすように燃え始めて。
すると、碧空くんがそれを見ながらボソッと呟いた。
「……線香花火ってさ、ホタルの光みたいだよな」
「えっ?」
「小さいけど、すげぇキレイで、一生懸命光ってる感じがしてさ」
「た、確かに……」
言われてみれば、暗闇の中で光るそれは、ホタルの光のよう。
碧空くんたら、例えがうまいなぁ……なんて感心していたら。
「まるで、蛍みたいだ」
そう言いながら彼はこちらに視線を向けた。
ドキッとして彼を見上げる。
「えっ……私?」
「うん。蛍もいつも一生懸命だから。
俺にはすごく輝いて見えるよ。どこにいたってすぐにわかる」
「……碧空くん」