【完】もう一度、キミのとなりで。
そのままグラウンドの隅に座り込んで、洗った部分が乾くのを待つ。
そしたらそこに一人の女の子が近付いてきた。
なにか言いたげにモジモジしながら……。
だけど、俺のことをチラチラ見ながらも何も言ってこないので、俺は不思議そうにその子を見てた。
そう、それが蛍。
同じクラスだけど、おとなしいからまだ少ししか話したことがない。
でも見た感じ、俺に用があるのかな?
「ん?どうしたの?」
気になって聞いてみたら、その子はハッとした様子で、顔を真っ赤にしながらうろたえはじめた。
「あ……っ。え、えっと……」
本当に口下手なんだなと思う。
話したいけどうまく話せなくて焦っているような感じで。
俺はなるべくプレッシャーをかけるまいと思い、「いいよ、ゆっくりで」なんて言いながら待つことに。
そしたら彼女はポケットから何かを取り出して、震える手で俺に差し出してきた。