【完】もう一度、キミのとなりで。

ついでに俺が質問すると、自信なさげではあったけど、小さな声でちゃんと答えてくれた。


「えっ……う、うん。そうなの。

私、よくこけて、ケガするから……」


「へぇー、そっか。どおりで準備がいいわけだ。

じゃあ俺、これからケガしたら柏木のとこ行こうかな、なーんて」


冗談ぽくそんなことを言ってみせたら、彼女は「えっ!」なんて言いながらまた赤くなった。


いちいち照れるのが可愛いなと思う。


だけど、聞き流されるかと思ったらそこで小さな声で。


「……い、いいよ」


なんて返してくれて。


俺はそこで不覚にも少しときめいてしまった。


今の、冗談だったのに……。


なんだよ、すごくいい子じゃんって。優しいんだなって。


控えめだけど思いやりのある彼女のことが、とても気になった。



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