【完】もう一度、キミのとなりで。
だけど、矢吹くんは私が戸惑っていると、今度はコツンと頭を叩いてきて。
「……冗談だよ」
「えっ!」
いつものように冗談だと言われて、少しホッとしてしまった。
なんだ……。
「動揺しすぎだから」
「……っ」
だって、今のは動揺するよ。
矢吹くんはいたずらっぽくクスッと笑ってみせると、その場から立ち上がる。
そして、そのまま私の手を引いて引っぱり上げた。
「ほら、そろそろ帰るぞ」
「あ、うん」
「もう暗いし、送るから」
「えっ!」
さらには送ってくれるなんて言う。
どこまでも彼は面倒見がいいみたいだ。
「そんな、大丈夫だよ……」
「アホ。どっちにしろ駅まで一緒だろうが。
そういう遠慮とか俺は受け付けないから」
「……っ」