【完】もう一度、キミのとなりで。

職員室に鍵とカードを置いた後は、誰もいない下駄箱で靴を履きかえ一人で帰った。


なんだか水曜日に一人で帰るのは久しぶりな気がする。


ここ最近はいつも碧空くんが待っていてくれて、二人で一緒に帰っていたから。


それを思い出したら、また切なくなってしまった。


今さらのようにたくさん浮かんでくる。優しかった彼との思い出。


高校でまた一緒になって、再び仲良くなれて、思えば楽しいことがたくさんあったな。


碧空くんはあの頃と全然変わっていなくて、そのままで。


こんな私のことを『今でも好きだ』って言ってくれた。


ずっとずっと、想っていてくれたんだ……。


なのに、ごめんね。


わけもなく滲んでくる涙。やっぱり胸が苦しい。


だけどもう、遅いよ。


薄暗い外の空気は少し冷えていて、一人の帰り道がいつも以上に心細く感じた。


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