【完】もう一度、キミのとなりで。
私はさすがに何も言わずにいられなくて、彼の席へとそっと駆け寄っていった。
「あ、あの……ありがとう。矢吹くん」
頬杖をついたまま横を向く彼に礼を言う。
そしたら矢吹くんは、こちらを振り返ることなく答えた。
「……べつに。ただウザかっただけだし」
「う……うん。でも、嬉しかったから……」
そっか。別に私のために言ってくれたとは限らないよね。
すると彼は、チラッと一瞬だけ私のほうを見て。
「つーか、お前が幸せになってくんないと、俺が報われないんだよ」
「えっ?」
ボソッと呟かれた言葉にドキンと心臓が跳ねる。
今のは、どういう意味……?
だけど、矢吹くんはそのまま席をガタンと立つとどこかへ行ってしまったので、結局深い意味までは分からなかった。