【完】もう一度、キミのとなりで。
「おーい、女子。声ちっさいぞー!
そんなんじゃ合唱コンクール負けちまうからなーっ。
もっと腹から声出せよー」
中二の6月。文化祭を目前にして、クラスみんなが放課後合唱コンクールの練習に励んでいた時。
担任の松岡(まつおか)先生から女子たちがダメ出しを食らった。
「はい、じゃあもう一回いきまーす」
何度も歌い直しをさせられて、だけどやっぱり先生のダメ出しは止まらない。
「あのなぁ、真面目に歌うのダサいとか思ってる奴いるのかもしんねーけどな、不真面目なほうがカッコ悪いと思うぞ先生は。
もっと全員が心を一つに!全員がやる気を出す!なっ!」
割と体育会系で暑苦しいタイプの担任だったので、どんどん説教もヒートアップしてきて、みんなもだいぶ顔がお疲れ気味。
その日は1時間以上練習しても、なかなか帰してもらえなかった。