【完】もう一度、キミのとなりで。

今度は男子がヒソヒソと女子の文句を言い始める。


その時、一番前の列で歌っていた私に、クラスで一番派手な碓井(うすい)さんと、その友達の飯田(いいだ)さんが、うしろから声をかけてきた。


「柏木さんの声、マジ聞こえないんだけど」


「柏木さんがいるからダメなんじゃないの―?」


そう言われてドキッとする。


「え、そ、そんな……」


確かに私はもとから声が小さいけれど、自分では一生懸命歌っていたつもりだったので、すごくショックだった。


「そのウィスパーボイスどうにかなんないわけー?」


「恥ずかしがってないで歌いなよ」


なぜか急に言いがかりをつけられて、責められる。


元から碓井さんたちは私のことが気に食わないみたいで嫌味をよく言われていたけれど、まさかこんなふうにみんなの前でダメな原因のように言われてしまうとは思わなかった。


< 84 / 414 >

この作品をシェア

pagetop