【完】もう一度、キミのとなりで。
思わずうつむいて、黙り込む。
怖くて、何も言い返せない。
それに、声が小さいのは本当だから、何も言えない。
周りの女子はみんな碓井さんたちが怖いから何も言わないし、助けてくれるほど仲のいい友達もいない。
「ねぇ、なんか言いなよ」
問い詰めるようにそう言われて、じわりとこみあげてくる涙を必死にこらえながら謝ろうとする。
「……っ、あ……」
だけど、震えて声がうまく出てこなくて。
そんな時、すぐそばからある人の声がした。
「俺には、柏木さんの声聞こえてたよ」
……えっ。
ドキンと心臓が飛び跳ねて、思わず顔を上げると、そこにはなんと指揮者の碧空くんが険しい表情で立っていて、碓井さんたちをしっかりと見据えていた。
一瞬にしてその場が静まる。