【完】もう一度、キミのとなりで。
6.水曜日の帰り道
「蛍、準備できた?」
「うん」
加奈子ちゃんが化学の教科書とノートを手に持って声をかけてくる。
今日は一時間目から移動教室なので、さっそく二人で教室を出て理科室へと向かった。
「1時間目から実験かぁ。やだな~」
「ほんとだねぇ」
なんて渋い顔をしながら1組の前まで来ると、何やらいつも以上に賑やかな声がする。
すると突然、隣にいた加奈子ちゃんが大声を上げた。
「……あっ!
きゃーっ!ウソッ!結城先輩がいるっ!」
「えっ」
言われて見てみたら、本当に先輩がそこにいて。
1組のドアの前で、サッカー部の人たちと輪になって楽しそうに話しているところだった。
その中にはあの美希ちゃんや孝太くん、そして碧空くんの姿もある。