円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
夜会への招待状
重苦しい表情の二人に挟まれていた
メアリーの心は、
二人とは逆に弾んでいた。
妹がどうなっているか。
これには、実の姉のメアリーも
気になっている。
呑気な彼女だって、部屋の中の様子が
気になるに決まっている。
だから、エリノアを待っている間、
早く出てこないかと、
何度もドアをノックしようとして
アリスに止められた。
「ちょっとくらいなら、いいんじゃない?
ほら、偶然、通りかかったから
寄りましたっていえば」
メアリーが無邪気に答える。
「そんな、わざとらしい話、
誰も信じませんよ。メアリー様」
アリスが冷ややかに言う。
メアリーは、ウィリアムが
エリノアを連れ去り、
部屋に閉じ込めたと聞いて、
居てもたってもいられなくなって、
アリスの後をついてきた。
ただ、後の二人が本気で、
ウィリアムに捕まったエリノアのことを
心配していたのとは少し違う。
二人よりも多少、
ウィリアムの気持ちを理解している
彼女は、エリノアが危ない目にあうとは思っていなかった。