円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
エリノアは鏡に映った自分の姿を見た。
ウエストを締め上げ、
たっぷりとスカートの膨らんだ
美しいドレスを着ている自分の姿が
鏡に映っている。
髪もカールを縦にして、
下へ垂らしてもらった。
上半身がスッキリし、首から
肩のラインが、きれいに見えるような
デザインになっている。
「淡いピンク色のレースを、
贅沢に使ったきれいなドレスね。
びっくりするほどよく似合ってるわ」
メアリーが横に立っていう。
「でも……」
ウィリアムの力強い指の後が、
体のあちこちに残っていた。
こんなふうに着飾っているのを見たら、
彼は、何というだろうか?
からかって、似合わないというだろうか?
いずれにしても、
目を合わさないようにしよう。
からかれれた方が、ずっとましだった。
『よく似合ってるよ』とか
『きれいだよ』とか
ウィリアムが、真剣な眼差しで
言われたりしたら、
どうしていいのか分からなかった。