円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「エリノア様、ご心配はいりません。大丈夫ですよ。
昨日までに参加れたレディの中でも、
一番おきれいですから」
アリスは、ドレスの裾を整えながら言う。
着替えの様子を、
見守っていたメアリーが、
エリノアのそばに来た。
メアリーも、エリノアの様子を
とてもきれいだと褒めた。
「ねえ、エリノア今夜の踊り、
一番最初はウィリアムと踊ってね。
もともと、私と踊ることになってたけど。
私は、エリオットさんと
踊ることになったから」
「エリオットさん?ウィリアムの
お友達の?」
「そうよ、とってもいい方」
エリノアも社交の場で何度か
言葉を交わしていた。
確かに、とてもいい方だけど。
『大地主の息子だけど、次男坊じゃね』
と母が愚痴っていたのを、
エリノアは思い出した。
「メアリーまさか、あなた……」
「なに?エリノア。ほら、時間だわ。
ねえ、そろそろ下に下りて行かないと。
行きましょう」