円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~

支度が整うと、エリノアは舞踏会が
開かれるホールへと降りて行った。


すでに、ホールの入口には、
人だかりができていて、
その熱気にエリノアは、圧倒されそうになった。

らせん状の階段の中ほどから、舞踏会の主催者である伯爵夫人を目で追う。

階段を降りたところで、
夫人と目が合った。


エリノアが微笑み、礼儀にのとった
挨拶をすると、主催者の伯爵夫妻が
暖かく迎えてくれた。

エリノアは、いつもより丁寧に
招かれたお礼いい、
遅れてしまったことを詫びた。


広間のなかへ入って行くと、
大きなホールは大勢の人であふれていた。

美しく飾られた広間の中に、
知っている顔ぶれがいないか探す。


目は、自然にウィリアムの大きな背中を探していた。

いいえ、会いたいからではなくて。

ホールのどのあたりにいるのか
分かればいい。

彼が近づいてきたら、
その場を離れて対処できるから。

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