円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
本当の兄のように思ってる。
それなのに。
エリノアは、ウィリアムが
しようとしたことに戸惑った。
肌を見られ、熱っぽい視線を送られた。
彼にキスされたのは、嫌ではなかった。
嫌ではなかったけれど、どうしていいのか分からなかったのだ。
ぼんやり眺める程度だったが、エリノアがホールの中を見渡した限り、ウィリアムの姿は見えなかった。
彼の姿が見つからなければ、無理にダンスを踊る必要はない。
彼に会わなくて済む。
そのことに、少しほっとしているのに気が付いた。
ゆっくりバルコニーに立って、ホールの熱気で火照った体を冷ましてこよう。
エリノアはそう思って、バルコニーに出た。