円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
アメリカについては、本で読んでいた。

少しは知識として知っていた。

知っていたけれど、実際に住んでいる
人に聞くのは本で読むのとまるで違う。

トーマスからも教えてもらったことは、
本当に興味深かった。

街中にビルがどんどん立っていくのだ。

そして、
人が集まって大きなま街になって行く。

彼から話を聞いて、
ますます興味がわいてきた。


エリノアは、アメリカっていう新しい国が
どんな国なのか見てみたくなった。

大陸を横断するような鉄道が引かれ、
あんなに大きな国の東側と太平洋岸がつながる。


移民をたくさん受け入れて、
その人たちが労働力となって、工業発展する。

このままいけば、
世界一の工業国になるという、エネルギーに満ちた国。

やっぱり、
一度この目で見てみたいと思う。



「ねえ、エリノア。
本当にアメリカに行ってしまう気?」
メアリーが心配そうな顔をして、
エリノアを見ている。

「だって、死ぬ前に一度は、
見てみたいじゃないの」

「アメリカまで行ってしまったら、
もう、プルームズベリーには帰ってこないの?」

エリノアは驚いてメアリーを見た。


「メアリー、どうして
アメリカに行くことが、一生の別れみたいになるのよ」


「だって、
アメリカに行くっていうことは、
トーマスさんと結婚して、アメリカに住むっていうことでしょう?」

< 141 / 195 >

この作品をシェア

pagetop