円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「ええっ?何でそうなるのよ」
とエリノアは思っていた。

けれど、メアリーの反応を見れば、
明らかにメアリーの、
受け止め方が自然だった。
彼女は、
ようやく自分が間違っていると
た気が付いた。


若い結婚前の娘が、男性についていき、
長い時間一緒に過ごす。

そんなことは、あってはならない

そうだった。

結婚してからでないと、あり得ない。

まず、それ以外の方法で両親はじめ、
周囲が納得しないだろう。

盲点だった。


行きたいという気持ちばっかりで、
自分の行動が、
どうとられるかなんて、
ライブ考えたことがなかった。

「あなた、やっぱり
そこまで考えてないのね?
もし、トーマスさんが本当に、
ただ遊びに連れ出すつもりだったら?
まったくあなたと、
結婚する意志がなかったら、
どうするつもりなの?」

それならそれでいい、
研究所で一人で明るく生きてやる。

エリノアは、そう言いそうになって
とどまった。

話がどんなふうに伝わるのか、
分からない。


「結婚してないの男女が、
ずっと一緒にいるだなんて。エリノア、よく考えて」

メアリーは、
泣きそうになりながら言った。


「心配させてごめん。メアリー、
よく分かったわ」

「うん。お願い、エリノア。
遠くに行くなんて考えないで」
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