円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「トーマス様!!」
女の方は、意味の分からない
言葉ばっかり言っている。

エリノアは恥ずかしくなってきた。


「ミーガン、待って」

ミーガンですって!!

エリノアは、さらに一歩近づいた。

トーマスとミーガン?

あれは、何してるの?

エリノアは、よく見ようと思って、
もう一歩近づいた。

後ろからいきなり肩を叩かれたので、
死ぬほど驚いた。

「な……」

何するのよと言おうとして、
口を押えられ、男の腕でぎゅっと引き寄せられた。



「申し訳ありません。
声を出さないでください」

申しわけありません?

男は、彼女を胸に抱いて、
耳元でささやいた。

彼女は、男性に抱きかかえられ、
食堂から連れ出された。

途中でガタンと、
足が何かに引っかかた音がした。



「誰かいるのか?」

男の方が体を起こした。

振り返って顔をこっちに向けたので、トーマスだと分かった。

「エリノア様、じっとしていてください」

「ルーカス、何をするの?」

「何をするのかは、お教えできません」

明かりを持って、
トーマスがこっちにやってくる。

ルーカスは、
エリノアを胸にすっぽりと収めると、
ぎゅっと抱きしめるように
彼女の体をトーマスから見えないように隠した。

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