円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「ウィリアム?」
そろそろ、どこに寄るのか教えて欲しいのだけれど。
「エリノア、どれだけ心配させられたのか、君もよく知っておいた方がいいと思うな」
彼は、エリノアの考えてることくらいお見通しさと言わんばかりに言う。
「まあ、仕返しっていうわけね?いいわ、気のすむまで不安にさせたいのね?」
こういう時の侯爵様って、本当に憎らしい。
「そういうことだ」
ウィリアムは、声に出して笑った。
もうしばらく行くと、小川が流れていた。
その横に小屋が見えて来た。
「少し寄り道するよ」
「ここは?」
「狩猟小屋だ」
「侯爵家の?」
「そう」
そういえば、病院は侯爵家の敷地の近くにあった。
敷地に入ってまっすぐ向かえば、ほんのわずかな距離だった。
小屋は、農家風の建物で石でできた頑丈なつくりの家。
厩舎も備えていて、そこに馬をつないでやる。
中に人はいないけれど、ちゃんと管理されていて、建物があれているという事はなかった。
家の中には、煮炊きができるように小さなかまどに、ダイニングテーブルと椅子、それから寝室の他にもゲストルームも付いていた。
とっても素敵な場所だけれど、ウィリアムここで何をするの?