円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
ウィリアムが、大きくなった火の中に
小さく割った木を入れていく。
炎が力強くなり、彼の顔を照らしていく。
「暖かいのね」エリノアが手をかざして
言う。
「ん……」
彼は、炎に見入ったようにじっと
見つめている。
「エリノア、もっと、こっちにおいで」
エリノアは、言われるまま、ウィリアム
の手の届くほど近づいた。
彼は、エリノアを片手で抱いて、
自分の膝の上に乗せた。
エリノアは、小さい頃、よくそうしていたたように、素直に従った。
「君は、アメリカに行きたかったのか?」
「アメリカ?もちろん行きたいわ。
アメリカだけじゃなくて、
いろんなところに行ってみたい。
ヨーロッパの大きな町にも行って
みたいわ」
「そうじゃないよ。君は、
トーマスと一緒に行きたいのかい?」
「トーマス?何でトーマスと一緒なの?」