円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「どうした?エリノア、服を脱ぐのが恥ずかしいのか?」

「いいえ。そうではありません」

「ならば、寝室に行こう。早く君に触れたい。もう、少しも待てない」

ウィリアムは、暖炉の火を完全に消してしまった。

ふわっと体が浮いた。

彼は、エリノアを抱き上げると、寝室のドアを開けベッドに横たえた。

ウィリアムは、彼女に寄り添うと、軽く額にキスをした。

「照れているのか?顔が赤いぞ」

「照れているのではありません……
こんなのは、止めてください」


「そうか?僕は、止めたくない。
せっかく君と二人きりでいるのに、他に何をするのだ?」

ウィリアムは、熱のこもった目で見つめて、エリノアの決心を溶かして、くじけさせようとする。

「他に何をするのかですって!
ウィリアム、私はミーガンのようになりたくないの」

ウィリアムは、なんだというように、くすくすと笑った。

「どうした?妊娠するのが嫌なのか?」

「そうです。子供が出来たらどうするんですか?」


彼は、憎たらしいほどうっとりさせるキスの合間に言う。

「子度が出来たら、産めばいい。たくさん産めばいい」


「たくさん産む?ウィリアム、産めばいいって」

「そうだ。侯爵家の跡取りだからな。
たくさん産んでおくれ。
君が僕の子供を産んでくれないと、家系が絶えてしまう」

「ウィリアム?あなたは、私をどうしようと思ってるの?」

「どうするって、ずっとそばに置いて、一緒に寝て、一緒に目覚める。当たり前だろう?
君と結婚する。夫婦になるんだ。
結婚もしないで子どもなんか作れるか。

エリノア、どうやら、君を結婚させたくないと思っていたのは、僕の方だった。
片っ端から君の縁談を断って、君には悪いことをした」

「ウィリアム、ちょっと待って、
今、考えるから……」

「考えることなんかないさ。君は、黙って僕の言う通りにしていればいい」

< 183 / 195 >

この作品をシェア

pagetop