円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
「黙って、言う通りにしろですって!!」

「なんだ?君は、自分からしたいのか?」
ウィリアムの目が鋭く光った。

「ウィリアム、私はそんなことが言いたいんじゃなくて……」

「何も心配するな。そう言ってるただろう?
これから起こることについては、
僕が全部責任を取る。

僕は、早く君を僕のものにしたい。
もう、トーマスのような男に、横から
君を持っていかれるなんて、間抜けなことはしたくない。いいね?」

絶対的な自信。

揺るがない心。

彼は自分のすることに自信を持っている。

いつもこの人には、逆らえない。

『いいね?』

というのは、同意を求めるんじゃなくて、そうするけど文句をういうなという
意味だ。

でも、彼のいうことを聞いていれば、
一方的に不幸になることはない。

『それで、君は幸せか?』

時々、彼はそうして確かめてくれる
だろうから。



でも、一方的に指導権を握られるのは、
面白くない。


エリノアは、彼の首に腕を巻き付け、
彼にキスをした。

ウィリアムの体が、暖炉に薪をくべるように熱くなる。

彼を熱くさせるのは、自分だ。

そう思うと、少しだけ自信が持てる。

少しでも、彼の感情を掻き立てられると
思うとエリノアは満足した。


エリノアは彼を受け入れて、愛する人と
次の日丸一日を、ずっと小屋で過ごした。



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