円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~



ウィリアムは、侯爵家に立ち寄って、
しかるべき準備を整えて、舞踏会に集まった人たちに挨拶をしようと考えていた。

エリノアを自分の妻にする。

公式に発表してしまえば、
後には引けない。

いろんな方面から、意見だの中傷だの
言われるだろうけれど、もうそんなことはどうでもいい。

もやもやとしたものが、
晴れて、すっきりした気分になった。

ウィリアムは、狩猟小屋で
エリノアとたっぷりと時間を過ごし、
次の朝、馬に乗って侯爵家の屋敷に
向かった。


ウィリアムが屋敷に着くと、母親である
侯爵夫人が使用人を差し置いて、
真っ先に出て来た。

伯爵家にいるはずの母が、なぜか目の前にいる。

ウィリアムは驚いた。

そして、頭の中で立てた計画が半分
無用になったと思った。

何しろ彼の頭の中では、
エリノアと結婚することを
自分の母親に説得することが、
第一の関門だと思っていたからだ。
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