円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~

「どうして、
そんな噂が立ったんですか?」

ウィリアムは、どうして、
そんな見当違いな話になるのかと、
不思議そうな顔をしてみたが、

内心は、エリノアとトーマスが
馬車で出て行くところを、誰かに見られたのだろうと思っていた。

「二人が、馬車で出て行くのを
見たものがいるんです」

「なるほど」やっぱりそいうことだ。

「伯爵家には、
トーマスさんの姿も見えないし、
エリノアと二人で、どこかに行ったんじゃないかということになって……


でも、ウィリアム、
エリノアはあなたと一緒だったの?」

「はい、そうですよ。お母様。僕たちは、ずっと二人きりで過ごしていました」

侯爵夫人は、深くため息をついた。

「どうして、お前は、いつもいきなり
なんだろうね。
それが、どういうことか分かってるのね?」

「もちろんです。これから支度を整えて
伯爵家へ向かいます。アストン家にも」

「エリノアの両親も、伯爵家に
向かってるわ。本当に人騒がせね」

「申しわけございません」
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