円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~


エリノアは、クリノリンという、
鯨骨をドームのように骨組みたてたも
のを着せられて、
その上に、たっぷりと広がったドレスを
身に着けた。

ペチコートを何枚も重ねて着なくても
よく、軽くなった。

軽いのはいいけれど、何しろ巨大な
張りぼてだ。

円を描くように何メートルも近寄れない。


これでは、ベンチに座れば、
大きなスカートで座席を占領してしまう。

そもそも、どうやって馬車に乗るのだ?

ひっかかってしまうのではないだろうか?



侯爵家の長い廊下を歩きながら、
エリノアは考えた。

客間がいくつもある屋敷の中を歩き
まわる。

これほど、屋敷も広ければ、
スカートがこんなに場所を取っても
大丈夫なのだろう。


ああ、そんな細かいことよりも、
本当に自分はこの屋敷の女主人として、
伯母の跡を継ぐのだろうか?

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