円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
お嬢様メイドになる



「今日も侯爵様は、
お出かけにならなかったみたいだねえ」

母が、侯爵家から
仕入れた情報によると、
このところ、ウィリアムは外出しないで、
ずっと屋敷の中で過ごしているらしい。

エリノアは、
読みかけた本から顔をあげた。

そして、さっきからずっと、
部屋の窓から景色を見ている母親に言う。

「よかったじゃないの。
出かけたって聞くと、お母様は、
余計に気になってしまうでしょう?
ウィリアムは、
どこに出かけて行ったんだろうって」

アストン夫人は、椅子に腰かけて、
さっきからずっと
本を読んだままの娘に言う。


「だって、噂によると、
侯爵家に、
とてもきれいな女性が滞在してて、
そのせいでウィリアムは
ずっと屋敷にこもってるって聞いたわ」

ウィリアムが、
この家に訪ねて来なくなったのは、
まるで、エリノアのせいだと
言わんばかりの剣幕で言う。

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