円舞曲はあなたの腕の中で~お嬢様、メイドになって舞踏会に潜入する~
母の心配をよそに、
舞踏会の準備も滞りなく進んだ。
エリノアは、
自分の計画を周到に用意していた。
まず、エリノアと関わっている
関係個所に、それぞれ手紙を書いた。
例えば、彼女の叔母である
侯爵夫人には、
別の用事で、知り合いのところに
滞在する予定でいるので、
舞踏会には遅れていくと、わざわざ手紙で知らせた。
後は、伯爵家へ向かう直前になって、
エリノアは、ずっと考えていたことを
アリスに打ち明けることにした。
「ねえ、アリス。
お前の制服の上にしている
エプロンをしばらく、借りたいんだけど」
「何にお使いになられるのですか?」
アリスが突拍子もない提案に驚く。
「ちょっとね。お前のは、
別に新しい物を注文しておいたから
それで、いいでしょう?」
「それは、
ずいぶん気前のいいことですね」
「それと、お前とジョンは、
伯爵家についていくの?」
「ええ、そうするつもりです」
そして、彼女が着る衣装係の制服も
アリスと同じものを揃えた。