キス税を払う?それともキスする?
眼鏡を外した効果も多少なりともあったのかもしれない。
いつもよりは普通に話せた。
眼鏡を外した効果なのか、奥村という子と波長が合うのだろうか。
合わせてくれているのかもしれない。
苦手な飲み会だというのに、たわいもない話をして、珍しく楽しい気分だった。
いつもなら話さない愚痴っぽいことも口にした。
「新人の頃は僕も希望に満ちていた。
でも働けば働くほど、企業の駒に過ぎない。1つの歯車に過ぎないんだ。
という思いが強くなる。
…新人の君に話す内容ではないな。」
こんな愚痴にも奥村は真面目に返答した。
「そうかもしれないですけど…。
歯車ってどんなに小さいものでも1つ外れてしまったら動かなくなります。
必要ないものなんてないんじゃないですか?」
「別に自分が必要のない人間だとまでは言っていないが…。」
「す、すみせん。違うんです!
そういう意味じゃ…。」
慌てる奥村が何故だか可愛く思えた。
眼鏡…かけてれば良かった。
まぁ視界が良好ではここまで砕けて話せはしなかっただろうが。
「先輩?怒ってますか?」
ハハッ。
余計に意地悪したくなるタイプだな。
「いや。必要ない人間とは心外だったが。」
「そうじゃないんです。
先輩はきっと会社にも社内の人にも誰からも必要とされる方だと思います。」
「今さら持ち上げても手遅れではないか?」
「持ち上げてるわけじゃないんです…。」
とうとう奥村から不満げな声が出て、思わず吹き出しそうになる。
「そうか。
締めのデザートを譲ってやろうと考えていたが…。」
先ほどまで顔は伏せられていたのに、急に南田の方に顔を向けられたのが分かった。
「本当ですか?
ものすっごく好きなんです。
柚子シャーベット。」
「ハハハッ。やるよ。やるやる。」
餌付けされた犬のような奥村につい笑い声を上げた。
僕の笑った顔を見ると幸せになれるって都市伝説をこの子は知らないんだろうな…。
隣の席で嬉しそうな顔で食べているであろう奥村に感慨深い視線を送る。
しかし見えないのは不便だった。
見たいと思うものが見えなかった。
南田は奥村の嬉しそうな顔とコロコロと笑う笑顔を見てみたいと思った。
いつもよりは普通に話せた。
眼鏡を外した効果なのか、奥村という子と波長が合うのだろうか。
合わせてくれているのかもしれない。
苦手な飲み会だというのに、たわいもない話をして、珍しく楽しい気分だった。
いつもなら話さない愚痴っぽいことも口にした。
「新人の頃は僕も希望に満ちていた。
でも働けば働くほど、企業の駒に過ぎない。1つの歯車に過ぎないんだ。
という思いが強くなる。
…新人の君に話す内容ではないな。」
こんな愚痴にも奥村は真面目に返答した。
「そうかもしれないですけど…。
歯車ってどんなに小さいものでも1つ外れてしまったら動かなくなります。
必要ないものなんてないんじゃないですか?」
「別に自分が必要のない人間だとまでは言っていないが…。」
「す、すみせん。違うんです!
そういう意味じゃ…。」
慌てる奥村が何故だか可愛く思えた。
眼鏡…かけてれば良かった。
まぁ視界が良好ではここまで砕けて話せはしなかっただろうが。
「先輩?怒ってますか?」
ハハッ。
余計に意地悪したくなるタイプだな。
「いや。必要ない人間とは心外だったが。」
「そうじゃないんです。
先輩はきっと会社にも社内の人にも誰からも必要とされる方だと思います。」
「今さら持ち上げても手遅れではないか?」
「持ち上げてるわけじゃないんです…。」
とうとう奥村から不満げな声が出て、思わず吹き出しそうになる。
「そうか。
締めのデザートを譲ってやろうと考えていたが…。」
先ほどまで顔は伏せられていたのに、急に南田の方に顔を向けられたのが分かった。
「本当ですか?
ものすっごく好きなんです。
柚子シャーベット。」
「ハハハッ。やるよ。やるやる。」
餌付けされた犬のような奥村につい笑い声を上げた。
僕の笑った顔を見ると幸せになれるって都市伝説をこの子は知らないんだろうな…。
隣の席で嬉しそうな顔で食べているであろう奥村に感慨深い視線を送る。
しかし見えないのは不便だった。
見たいと思うものが見えなかった。
南田は奥村の嬉しそうな顔とコロコロと笑う笑顔を見てみたいと思った。