キス税を払う?それともキスする?
ヘルプデスクに行こうとする奥村に「ちょっと待て」との声をかけ、南田はパソコンの横に立てかけてある何冊かの本の中から1冊を選んで渡した。
「これ…?」
その本は『わかりやすい機械設計の基礎』
「昔、僕が使っていた物だ。
現在の僕には不必要だ。」
本当は自分が大学の時に使っていた物と同じ物を奥村のために買って来たのだが、そんな押し付けがましいことを言う気になれなかった。
定時になると奥村は自分が頼まれた仕事を終えることができていた。
ずいぶんと仕事をこなせるようになっていて感心する思いだった。
すると奥村はこちらを思いやる言葉をかけてきた。
「南田さんの仕事で何かやれることはありませんか?」
やはり優し過ぎるのだ。この子は。
南田の答えは明確だった。
「君は帰れ。」
そのためのペア変更だ。
それなのに奥村は引き下がらない。
「私たちはペアなんですよね?
だから南田さんは私を指導してくださるわけで。
そしたら私が頼まれた仕事を早く終えた時は南田さんの仕事をお手伝いするのが…。」
忘れていた。
この子は律儀で真面目で、そして強情だ。
南田は奥村が最後まで言う前にパソコンの方を向くと考えた結果、心を決めた。
パサっ。紙を数枚、奥村を見ずに渡した。
「そのデータを開いてみてくれ。」
「…はい!早急に。」
嬉しそうな奥村の声に心が温かくなる。
彼女が愛おしくて仕方なかった。
「これ…?」
その本は『わかりやすい機械設計の基礎』
「昔、僕が使っていた物だ。
現在の僕には不必要だ。」
本当は自分が大学の時に使っていた物と同じ物を奥村のために買って来たのだが、そんな押し付けがましいことを言う気になれなかった。
定時になると奥村は自分が頼まれた仕事を終えることができていた。
ずいぶんと仕事をこなせるようになっていて感心する思いだった。
すると奥村はこちらを思いやる言葉をかけてきた。
「南田さんの仕事で何かやれることはありませんか?」
やはり優し過ぎるのだ。この子は。
南田の答えは明確だった。
「君は帰れ。」
そのためのペア変更だ。
それなのに奥村は引き下がらない。
「私たちはペアなんですよね?
だから南田さんは私を指導してくださるわけで。
そしたら私が頼まれた仕事を早く終えた時は南田さんの仕事をお手伝いするのが…。」
忘れていた。
この子は律儀で真面目で、そして強情だ。
南田は奥村が最後まで言う前にパソコンの方を向くと考えた結果、心を決めた。
パサっ。紙を数枚、奥村を見ずに渡した。
「そのデータを開いてみてくれ。」
「…はい!早急に。」
嬉しそうな奥村の声に心が温かくなる。
彼女が愛おしくて仕方なかった。