キス税を払う?それともキスする?
 キス税は不正な情報操作や違法行為で一時的に停止されることになった。
 解散総選挙をして新しい与党が決まり次第、新しく施行されるのか廃止されるのかが決まりそうだ。

 ただ国民の声はこうだった。

「キス税のため義務としての名目でせっかく毎日のキスが日常化したのに廃止しないで欲しい。
 税金の免除と関係なくキスはいいことだ。」

「若者の恋愛離れにメスを入れた政策だった。
 今後も続けて欲しい。」

「キス税払っている=かっこ悪いのプレッシャーで彼女ができた!
 キス税最高!」

 もちろん根強い反対派はいるものの、賛成する人が多いのは本当のことだったようだ。

 一時的に停止しても認証機能は残して欲しいという国民の意見を尊重して、税金免除にはならないものの認証機能はそのままにすることが決定した。

 南田の気持ちとしても是が非でも認証機械は残して欲しかった。
 それがなければ奥村との今後に繋げられない気がしていた。

 社内ではいくら世間から認証の機械が撤去されないとしても、新しい受注は見込めない。
 そのため大勢雇うことになった派遣の契約が今月を持って打ち切られる人が大半だった。

 派遣がどうなるかは南田には興味がないことだった。
 ただこれを持って、社員同士のペア制度も廃止されるのはいただけない。

 他の上司(男)の下で働く奥村を視界に入れるなど許容できる気がしなかった。

 奥村は午前中、最後の教育に出かけていった。
 飯野から確認があり基礎は十分だとの返事をしたからだ。

 明日からは一日中、一緒に仕事できると思うと心が弾んだ。

 午後からの仕事は、認証機械の仕事をしていない南田たちにとっては特に変わったこともなく仕事を終えた。

 そして一緒に会社のビルを出る。
 癒着についてひと段落したため報道陣はすっかり姿を見なくなっていた。

 何を話せばいいのか言葉少なにマンションまで歩いた。
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