キス税を払う?それともキスする?
 元々の部署が男性の多い部署だったため、派遣の子は女の子ばかりだった。

 そして分からないことがあれば華に聞く子が多かった。
 業務のことはペアの男性に聞けたが雑務は分からない男性が多いからだ。

「奥村さん。コピーとってって言われたんですけど…。」

 ちょっと待って。コピーのとりかたくらい男性社員も知ってるでしょうが。

 そう思っても教えてあげるしかなかった。

 教える気があるなら、最初から男性社員が教えてるだろう。

 そんな納得できない雑務の相談が多く、自分の仕事はほとんど手をつけれなかった。

 定時になると派遣の子たちは一斉に帰っていった。

 ホッと息をつくと気分転換に休憩室でコーヒーを飲むことにした。

 すると休憩室にさきほどの「派遣の女は使い捨て」の先輩と何人かの人も入って来た。

「やっぱり派遣の子は定時で帰っちゃうよな。」

「そりゃそうですよ。そういう契約なんですから。」

「まぁ可愛い子だったから、いっか。」

「寺田さんは調子いいんだから〜。」

 ハハハッと笑い合う男性社員の話を苦々しい気持ちで聞いて、休憩室をあとにした。

 コーヒーカップを捨てていると席に戻ったと思われたようだ。
 先輩たちは社員の女の子の話をしていた。

「社員の女の子は雑務担当で派遣の女の子はお色気担当だな。」

「うわ。ひどいですよ。寺田さん。」

「なんだよ。向井だってそう思ってるくせに。」

 ハハハハハッと楽しそうな笑い声まで聞こえる。

 華はやりきれない思いで席に戻った。
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