覚醒者3号-第二次調査報告-
第二章

面倒な事になってしまった。

私は大きな樹木の下にしゃがみ込んで、膝の上に顔を伏せた。

…深夜の山中がこんなに方向感覚を狂わせるものだとは…想像以上だった。

ただ迷うだけでもタチが悪いのに、まさか小山田君ともはぐれてしまうなんて…。

「ついてないわ…」

小さく呟き、私は溜息をついた。

…自分は冷静だと言っていた小山田君。

でも、私の方が年上だ。

加えて女の方が勘は鋭い。

彼が嘘をついているのはすぐにわかった。

機関に近づく有力な情報が手に入った。

小山田君は完全に我を忘れている。

私とはぐれてしまったとしても、単独でこの山中にあるという機関の施設に乗り込みかねない。

…今の彼は危険だった。

確かに彼の発火能力は強力だ。

戦闘に特化した能力を持つ機関側の超能力者…覚醒者1号をも圧倒的な力で敗北に追い詰めたその戦闘能力は、超能力者としても最強クラスと考えていい。

しかし彼は戦闘力が高いだけの、まだ素人だ。

彼は機関の恐ろしさをまだわかっていない。

力押しで攻めて壊滅させられるくらいなら、とうの昔に壊滅している。

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