覚醒者3号-第二次調査報告-
本来なら夜明けを待って行動したかったけど、このままだと本当に小山田君一人で施設に突入しかねない。

彼と合流する事が最優先だ。

危険を承知の上で、私は真夜中の山中の移動を開始した。

…それにしても、山の中って何でこんなに歩きにくいのかしら。

枯れ葉が地面に散乱していて足元が滑る。

おまけに木々の根が張っていて時折つまずく。

夜中に歩くには最悪の条件だった。

小山田君も頭に昇った血を下げて、行動をしないでいてくれると助かるんだけど…。

大声で彼の名を呼びながら歩きたい所だけど、近くに機関の施設があるのならばそれはできない。

恐らく『小山田哲平』の名前、そして私が脱走した事も、機関の全部門に知れ渡っている筈だ。

そんな私や小山田君がここにいるよと叫びながら歩くなんて、拉致してくださいと言っているようなものだ。

特に私は…覚醒者2号とはいえ、戦闘に適した超能力は持っていない。

一人でいるところを襲われるのはあまり歓迎できない状況だった。

自分の目と耳だけで小山田君を探すしかない。

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