覚醒者3号-第二次調査報告-
男性は無表情のまま鉈を振り上げ。

「!?」

何の躊躇もなく私目掛けて振り下ろしてきた!

「きゃあっ!?」

素早くその鉈を回避し、後方に飛んで距離をとる。

「な…何を…!?」

私は驚きを隠しきれないまま男性に向かって言う。

「……」

男性は無表情だった。

刃物を他人に向かって振り下ろしたというのに、その顔に殺意とか、邪悪な思惟は全く感じられない。

台所で肉や野菜を切るのと同じような感覚で、彼は私に鉈を振るったのではないか。

そんな風にも思える表情だった。

男性はそんな無表情のまま、ゆっくりと私に近づいてきた。

靴も履かず裸足のまま。

ペタペタという足音が、こんなに恐ろしいと思えた事はない。

鉈を無造作に片手にぶら下げたまま、殺気なき殺人者は私に近づいてくる。

どうなってるの…?

何でこの人は私を襲ってくるの?

考えられるのは彼が機関の人間であるという可能性だけど、とてもそういう風には見えない。

どこにでもいるような中年男性だった。


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