覚醒者3号-第二次調査報告-
どういう訳か、彼らは走って私を追う事はない。

走ろうとはしないのか、それとも走る事ができないのか。

とにかく緩慢な歩みだけで、私をゆっくりと追って来る。

さながら生ける屍のような動き。

だけど、お陰で私の足でも彼らの追跡を振り切る事が出来た。

完全に姿が見えなくなるまで走り続けて、村落の出口辺りまで辿り着く。

しかし。

「……!」

私は慌てて近くの木陰に身を隠した。

…一体今までどこに潜んでいたのか、村落の出口付近に十人以上の村人達が集結している。

それぞれに凶器を手にした、男性、女性、老人、若者…。

年齢や性別はまちまちだけど、共通するのはあの生気のない淀んだ眼。

だけど、まるで私を待ち構えているかのように、村落の出口付近から動こうとしない。

…まさか、私が村落から脱出するのを阻んでいるの?

私は歯噛みした。

小山田君がいるならともかく、私一人であの人数…しかも凶器を手にした村人を突破する事はできない。

強引に抜けようものなら、あっという間に嬲り殺しにされてしまう。

実質村落からの脱出は不可能だった。

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