覚醒者3号-第二次調査報告-
考えを巡らせながら、ふと。

私は今のこの状況によく似た話を、過去に聞いた事があるのを思い出した。

私がまだ機関に拉致される前…高校生の頃にインターネットを中心に広まった、都市伝説とも言えるある噂…。

どこかの山中に、地図には載せられていない小さな村落があるのだという。

その村は、国や政府にすら管理を放棄され、地図から抹消された村。

『人狩り村』。

存在を知る者の間では、その村はそう呼ばれているのだという。

いつ頃から、何故、その村がそのような事になったのかは誰も知らない。

ただ、その村にはこの国の一切の法律が通用しない。

携帯電話の電波すら届かず、電気すら通っていない、外界から隔絶された陸の孤島。

その村に運悪く迷い込んだ者は、村人によって追い続けられる。

脱出しようにも村人達に退路を断たれ、延々逃げ回らなければならない。

そしていずれは村人達に捕まり、若い女性ならば村の男達によって陵辱の限りを尽くされ、男ならば村人全員から目を覆うばかりの暴行を受け、どちらにせよ惨殺される。

噂話が真実か確認しようと興味本位で人狩り村を訪れた者達は、その殆どが行方不明となり、辛うじて生きて帰って来た者も、体の一部を失っていたり、精神錯乱状態に陥っていたという。

そしてその者達は皆、口を揃えてこう言ったという。

「あの村だけは絶対に近づいては駄目だ」と。




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