覚醒者3号-第二次調査報告-
こんなに恐怖を増幅させる音はないだろう。

そう思えるほど、チェーンソーは凄まじい音を立て、木片を撒き散らしながら小屋の壁をどんどん断ち切っていく。

チェーンソーだけではない。

鎌、鉈、斧。

様々な凶器が、小屋の壁のそこかしこに突き立てられる。

小屋そのものを破壊して、私を捕らえようとしている。

…人狩り村の都市伝説が真実なら。

この村が本当に人狩り村なら。

私は村の男達に捕まり、陵辱の限りを尽くされた末に惨殺される…!

「じ…冗談じゃないわ…!」

思わず口走った。

普通の女性ならば、最早観念するしかないかもしれない。

逃げる術もなく、悲鳴を上げながらこの村に迷い込んでしまった不運を呪うしかないかもしれない。

でも私は普通の女性じゃない。

覚醒者2号。

機関によって超常的な力…超能力を与えられた人間…!

次々と叩き込まれる刃。

唸るチェーンソー。

その凶器が完全に小屋を破壊しつくそうとした瞬間。

「っ!!」

私はその能力によって、瞬時にして小屋の中から姿を消した。

< 26 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop