覚醒者3号-第二次調査報告-
第四章

肩口に切り揃えられた黒髪。

幼さの残るあどけない顔立ち。

その可憐さを引き立たせる、シンプルなデザインの白いワンピース。

年の頃13、4歳くらい。

そんな少女がこんな真夜中に、こんな危険な村落にいるのは明らかに不自然だった。

一瞬警戒するものの。

「……」

この少女に、他の村人達のような襲撃してくる気配は感じられなかった。

むしろ、私を見て脅えている感がある。

「…大丈夫よ」

私は微かに笑みを浮かべた。

「私はこの村の人達みたいに殺そうとしたりしないわ」

「……」

少女は私を見上げる。

美少女といってもいい端正な顔。

しかしどこか人形のような印象を与える。

そう、この少女には表情というものがないのだ。

脅えていると感じたのは、少女が身を硬くして恐怖心を体全体で表現しているから。

その表情には何の変化も見受けられなかった。

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