覚醒者3号-第二次調査報告-
思えば、こんなに具体的に機関に近づく情報を手に入れたのは御影市を出て以来初めての事だった。

…機関は拠点というものを多くは持たない。

私が機関に属していた頃も、移動はいつも目隠しをされた状態だった。

私は過去にも何度か機関から脱走を試みた事がある。

その為に、万が一に備えて施設の位置は私には知られないようにしていたのだろう。

そもそも機関は拉致専門の『実行部隊』と実験専門の『研究班』にきっちり役割が決められている。

だから施設にいる人間が頻繁に外部に出る事はないし、実行部隊が施設に出入りする事も稀だ。

機関はその存在の秘匿を徹底している。

同じ機関に属していたのに、私が機関の事を殆ど知らないのはその為なのだ。

それだけに今回手に入れた情報は、機関に近づく為の重要な手がかりと言える。

…小山田君は無言のまま、脇目も振らずに歩く。

その背中からは、ピリピリとした雰囲気が漂っている。

張り詰めた空気が、彼の周囲を包んでいた。

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