覚醒者3号-第二次調査報告-
そんなななみちゃんの治癒能力によって腹部を壊疽させられた1号。

しかし壊疽したのは、腹部のほんの表面的な部分だけのようだった。

軽く腹部に手を当て。

「ギギ…ダメージケイビ…タタカエル…ブチコロセル…ギギ…ギギギギギギッ!!」

1号は狂ったように声を上げた。

…彼女はダメージが軽かった事を悦んでいる。

任務が続行できるからではない。

この殺戮を、まだ続けていられるから。

目の前の獲物…つまり私達を嬲るという愉悦を、まだ続けていられるから。

1号は本能で人殺しを楽しむ、完全に精神の崩壊した兵器になってしまっていた。

「……!」

向かってくる1号に対し、ななみちゃんが一歩踏み出す。

覚醒者4号として超能力に目覚めた少女。

…小山田君の時もそうだったけど、超能力に覚醒した瞬間、相手との力量の差が肌で感じ取れるようなのだ。

自らの能力と相手の能力。

どちらがより優れたものなのか。

そしてななみちゃんは。

「……」

表情にこそ出さないものの、頬に汗を伝わらせていた。

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