覚醒者3号-第二次調査報告-
十数メートルの距離を挟んで、俺は1号と対峙する。

遠距離はお互いに互角。

近距離なら1号は格闘術を得意とする分、分が悪い。

しかし距離を詰めない限り、1号は俺の炎を念動力で相殺してしまう。

攻めあぐねる俺に。

「1号は」

ななみが無表情のまま口を開いた。

「相手の攻撃を『見て』念動力を使っている…つまり確認できない距離…超近距離からなら念動力の行使も遅れる筈。彼女はそれで私の『壊疽』に反応できなかった」

成程。

俺はななみの顔をマジマジと見る。

「…なに…?」

少したじろくような仕草を見せるななみに。

「アドバイス助かった、礼を言う」

俺は再び背を向けて言った。

「……」

真正面から礼の言葉を言われるのは苦手なのだろうか。

ななみはどこかモジモジした様子だった。


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