BAD & BAD【Ⅱ】
通学路を、念のため走る。
ゆっくりのんびり気ままに歩いていて遅刻したら、元も子もない。
大切なおやつがかかってるんだ。
最悪な展開を予測して、今すべきことをしなくては。
あぁ、私って真面目ないい子だなぁ。
今日だけは誰も、私がサボり常習犯だとは思わないだろう。
スカートをひるがえし黒髪を揺らしながら、校門を通る。
すると、前方に見知った人物を見かけた。
おっ、あの後ろ姿は……!
ニヤリと笑って、発見した3つの背中に躊躇なくどーんと衝突した。
「おっはよたかやん、弘也【ヒロヤ】、剛【ゴウ】!」
「はよ。朝から元気いいな」
「おはよーん、幸珀」
ジンジン痛む自分の背中をさすりながら挨拶を返した剛に続いて、
弘也も背中を痛がりながら挨拶すると、急にハッとして目を丸くした。
「って、幸珀大丈夫なの!?」
「何が?」
「超イケてる僕と学校でも会ったら、目と心臓がポンコツになっちゃうんでしょー!?」
「あー、うん、ダイジョウブニナッタ」
そういえば、そんな低クオリティーな嘘をついてたっけ。
弘也はちゃっかり覚えてたんだね。忘れてるかと思ってたよ。てか、私が忘れてたよ。