BAD & BAD【Ⅱ】
地面と落とし穴の枠の境目が半壊し、雪崩た土砂に足をすくわれた師匠は、否応無しに落とし穴の底へ誘われた。
師匠の真下にいた私も巻き添えを食らってしまい、せっかく半分まで登ったのにふりだしに戻ってしまった。
「いたたた……」
うまく受け身を取れなくて、背中からネットに突っ込んじゃった。失敗だ。
またしてもネットに助けられた。
ありがとう、ネットさん。いい仕事をしてくれるね。
「いった!」
上から落ちてきた小石が、私の頭に直撃した。
この落とし穴は、一度はまった者は出させないっていう呪いでもかかってるの?それとも、私に恨みでもあるの?
随分と、落とし穴に好かれちまったもんだ。
私の今日の運勢、そんなに悪かったのかな。不運すぎやしないか?
ちゃんと朝の占いをチェックして、ラッキーアイテムを常備しとけばよかった。
ため息をひとつこぼしながら、服や髪についた砂を払う。
また登り直さなきゃ。
「師匠、大丈夫ですか?」
「あっ、……う、うん!」
10月生まれの、そこのあなた。
今日の運勢は最悪。自然豊かな山に牙をむかれるかも。外出は控えましょう。
頭の内側から、私宛のオリジナルの占いが通達された気がした。