BAD & BAD【Ⅱ】
期待値ソルジャー
師匠と共に、落とし穴に落っこちた。
2回目ともなれば、そこまで恥ずかしさは生まれない。
慣れってやつだな。耐性がついたんだ。落とし穴のプロとでも呼んでくれ。
けれど、師匠は落とし穴初体験。
大丈夫なフリをしているのがバレバレだ。
「本当に大丈夫ですか?なんか様子が変ですよ?」
「幸珀は鋭いなぁ」
「師匠のことなら、なんでもお見通しです」
弟子をなめないでください。
笑顔を引きつらせて、無理してる感満載じゃないですか。
「どうしたんですか?」
ネットの上に座ったままの師匠の近くにしゃがみこむ。
師匠は観念したように、ずっと抑えていた右足首からゆっくりと手を放した。
「じ、実は、着地に失敗しちゃって……」
「足首、青くなってるじゃないですか!!」
えっ、ちょ、これ大丈夫なの?
ただの怪我じゃないよね。捻挫?骨折?
こういう時、どうすればいいの!?