BAD & BAD【Ⅱ】
着地に失敗って、落とし穴にはまった時にくじいたのかな。
でも、ネットがあるから安全なんじゃ……?
ネットに移した視線が捉えた、ネットのほつれ。
師匠が落ちたところだけ、わずかにネットがほころびていた。
ネットにできた小さな穴に、右足がすっぽり入っちゃったわけか。
師匠、私よりもアンラッキーですね。
「足触ってもいいですか?」
「うん」
「……痛いですか?」
「ちょ、ちょっと」
試しに師匠の右足首を診てみたら、師匠はこんな時でも目尻をふにゃりと細めた。
痛いなら、無理して笑わなくてもいいんですよ。
痛いなら、我慢しないで泣いてもいいんですよ。
「骨は折れてはなさそうですね」
「そっかあ、よかった」
「よくないです!全然、よくないです!」
「に、2回も言わなくても……」
「骨折していないとはいえ、怪我したんですから!よくないです!!」
「3回目……」