BAD & BAD【Ⅱ】
右足首はシャツの袖でほどよく圧迫してるだけだから、これからさらに悪化してしまうかもしれない。
こんなことなら、落とし穴で怪我した時の対処法をみっちり学んどくべきだった!
「……うっ、」
「師匠!?」
喉から押し出したような呻き声が、くぐもって響く。
もしかして、右足首以外にも怪我をしたんじゃ……!?
「どこか痛むんですか!?」
「だ、大丈夫だよ」
「笑ってはぐらかさないでください!」
師匠が、脇腹の下らへんを手で抑えていた。
「怪我したのはそこですね!?」
「本当に大丈夫だから!」
「それのどこが大丈夫な顔ですかっ!!」
鏡でも見てください。苦痛で顔が怖くなってますよ。
そんな顔をしながら「大丈夫」って言われても、真に受けて、はいそうですかって引き下がれるか。