BAD & BAD【Ⅱ】
私は、傷のことを打ち明けてくれる瞬間を待ったりしない。
誰にだって、隠したいことはあるものだ。
――私にも、ある。
私がなりたい仲間の理想像は、仲間の何もかもを受け入れて寄り添う存在じゃなくて、どんなことがあっても支え合える存在なんだ。
支えるのは、過去や秘密を知らなくたって、大切に想っていたらできること。
悩み苦しんだ分だけ重たくても、ちゃんと倒れないように支えてあげよう。
「師匠」
「なに?」
「右足首が悪化する前に、ここから脱出しましょう」
「どうやって?」
「さっき見てたでしょう?登るんですよ」
ロッククライミングのコツはもう掴んだ。
どんな壁も、乗り越えてやる!
「でも、俺、足がこんなだし……」
「大丈夫です。私が師匠を担いで登ります!」
「幸珀、超かっこいい!!」
あの、師匠?
今、イケメンコールはいりませんから。