BAD & BAD【Ⅱ】
昔はこんなこと、しょっちゅうあったな。
思いっきりドジしちゃっておろおろしてた真修を、私と朔が世話してあげていたんだっけ。
池に落ちた真修を助けたり、牛乳を買うだけのおつかいでなぜか牛タンを買おうとしてたり、近所のおばさん達の名前を片っ端から間違えたり……。
「なんか、懐かしいなぁ」
「へ?」
「ん?」
「懐かしいって、何が?」
「……声に出てた?」
「気づいてなかったの?」
まじか。全然気づかなかった。
心の声を発してたなんて、恥ずかしすぎる!
「ちょっと、昔のことを思い出してさ」
「昔のこと?」
「うん。小学生の頃、私と真修と朔の3人でよく遊んだことが、急に懐かしく感じたんだ」
たまに善兄も連れ出して、幼いながらにわいわいはしゃいでいたよね。
だけど、私が悪くなった“あの日”を堺に、3人で遊ぶ機会が徐々に減っていった。
男女の違いを意識し出したからだとか、3人で遊べる時間がなくなったからだとか、バカみたいに遊ぶことに飽きたからだとか。
そんな言語化できる論理的な理由は、特になかったと思う。
ただ、自然とすれ違って、なんとなくお互いに連絡を取らなくなって、気づいたらあまり会わなくなっていた。